東京工芸大学 工学部 電子機械学科

電子機械学科コラム

Vol.35 本を読む

2013年 6月 19日
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23年前に第1刷が発刊された長篇エッセイを手に取った。

あの頃、学生の皆と同じ年代だった自分には共感できなかったところが

いま改めて読むと「あー、そうそう!」と納得できる。

筆者の体験に長い年月の間に培った自分の体験を重ねて見られるようになったのが大きい。

エッセイの筆者は更に進化して世界の○○と呼ばれるほど知名度をあげた。

翻訳された本は色々な国でベストセラーになっているらしい。

彼が書く小説は文体が気取っているように見えて「ちょっといやな感じ」だと思っていた。(新刊が出る都度、購入していたくせに。)

でも、エッセイは実直で温かく、ユーモアに富んでいる。20年以上前の言葉もこの時代に在っても不自然さを感じさせないくらい新鮮だ。

きっと、私は、これから数年数十年の間にも書棚から時折彼の本を取り出す。彼の言葉を追って、数年前に戻ってみたり真新しい啓示をもらったりして一生を過ごすだろう。

電子辞書には繋げない本と読み手の関係に思いを馳せる。